以下、目次となります。
増加する生活困窮者
新型コロナの影響で、生活に困窮する人たちが増加しています。困窮状態に陥っている人のなかには、非正規労働者などを中心に、これまで目先の暮らしには困っていなかった人々も多いと言われます。
生活困窮者の救済に当たるNPO法人によると、これまで食糧配布や相談会に訪れる利用者は、年配の長期路上生活者が中心でしたが、新型コロナが拡大するにつれて、20代から40代の若年層が増えたと言われます。そのほとんどが非正規や業務委託、フリーランスなど不安定な雇用形態で働く人々です。
「非正規だから在宅ワークもできず、シフトを減らされた」「日雇いの仕事が休止になった」「新しい仕事が見つからず、貯金が底をついた」など新型コロナによる失業や減給などで、生活に苦しむ相談が多く寄せられていると言われます。
生活困窮者の急増は、新型コロナにより収入が減った世帯を支援する特例貸し付けに申請が殺到している状況からも明らかになっています。
例えば、20万円を無利子で借りられる「緊急小口資金」には、全国社会福祉協議会によると、8月1日までの貸付件数は計約60万3千件、貸付額は1,089億円を超えています。新型コロナを受けて貸付の条件が大幅に緩和されたため単純比較はできませんが、貸付件数はすでに、リーマンショックや東日本大震災の影響が大きかった2009年度から11年度の3年間の5倍に及んでいます。
生活福祉資金貸付制度とは
生活福祉資金貸付制度は、低所得者、高齢者、障害者などが、安定した生活が送れるよう、都道府県の社会福祉協議会が資金の貸付けと必要な相談や支援を行う制度です。 資金の種類は、次の4つとなっています。
項 目 | 内 容 |
総合支援資金 | 生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費 |
福祉資金 | 福祉費、緊急小口資金 |
教育支援資金 | 教育支援費、就学支度費 |
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金、 要保護世帯向け不動産担保型生活資金 |
生活福祉資金貸付制度でのお金の借り方
緊急小口資金
(対象者)
新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付けを必要とする世帯
(貸付上限額)
20万円以内(従来の緊急小口資金は10万円以内)
(据置期間等)
据置期間…1年以内(従来は2月以内)
償還期限…2年以内(従来は1年以内)
貸付利子・保証人…無利子・不要
(申込先)
市町村社会福祉協議会または労働金庫
(申請時の必要書類)
・借入申込書
・借用書
・重要事項説明書(重要事項説明を受け、すべて了承した旨の自筆の住所、氏名の記入、押印)
・申立書(収入の減少状況を申告したもの)
・その他の書類(住民票原本、預金通帳等のコピー、本人確認書類(運転免許証等))
(問い合わせ先)
市町村社会福祉協議会
個人向け緊急小口資金・総合支援資金相談コールセンター0120-46-1999
受付時間9:00~21:00(土日・祝含む)
総合支援資金
(対象者)
新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯
(貸付上限額)
二人以上…月20万円以内
単身…月15万円以内
貸付期間…原則3月以内
(据置期間等)
据置期間…1年以内(従来6月以内)
償還期限…10年以内
貸付利子・保証人…無利子・不要(従来、保証人ありの場合は無利子、無しの場合は年1.5%)
(申込先)
市町村社会福祉協議会(労働金庫は不可)
(申請時の必要書類、問い合わせ先)
上述の緊急小口資金に準じます。
緊急小口資金、総合支援資金とも申請書類は所定の様式によりますので、申し込み先の市町村社会福祉協議会等にご相談ください。
住居確保給付金は家賃を補助してくれる制度
主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合、市町村ごとに定める額(※)を上限に、実際の家賃額を原則3カ月間(延長は2回まで最大9カ月間)支給されます。
支給された給付金は、賃貸住宅の賃貸人や不動産媒介事業者等へ、自治体から直接支払われます。(※)生活保護制度の住宅扶助額
住居確保給付金での家賃補助の受け方
(対象要件)
ⅰ 主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは個人の責任・都合に寄らず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
ⅱ 直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12(以下「基準額」という。)と、家賃(但し、上限あり)の合計額を超えていないこと
ⅲ 現在の世帯の預貯金合計額が各市町村で定める額を超えていないこと
ⅳ 誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
(支給額)
ⅰ 世帯収入額が基準額以下の場合
家賃額を支給(但し、住宅扶助額が上限)
ⅱ 世帯収入額が基準額を超える場合
基準額+家賃額-世帯収入額 を支給(但し、住宅扶助額が上限)
・世帯収入額が基準額を超える場合⇒支給上限額(住宅扶助額)を支給
(手続きの流れ)
申請者が必要書類を添えて生活困窮者自立相談支援機関に申請し、市町村等が決定通知を行い、市町村等が賃貸人等に支給(代理納付)します。
※生活困窮者自立相談支援機関とは住宅、仕事、生活などの相談窓口です。自治体が直営または委託(社会福祉法人、NPO等)により運営しています。
(必要書類)
・本人確認書類(運転免許証、個人番号カード等)
・収入が確認できる書類(給与明細、年金等証明書等)
・預貯金等が確認できる書類(金融機関の通帳の写し)
・離職・廃業や就労日数・就労機会の減少が確認できる書類(離職票や廃業届等)
(申請・相談窓口)
最寄りの自立相談支援機関
住宅確保給付金相談コールセンター 0120-23-5572
受付時間 9:00~21:00(土日・祝日含む)
この記事でのポイント
・生活福祉資金貸付制度は無利子、保証人なしで約20万円程度のお金を借りられる制度。
・生活福祉資金貸付制度は、「緊急小口資金」「総合支援資金」などがある。
・「総合支援資金」の貸付期は原則3月以内、償還期限は10年以内。
・住居確保給付金とは離職・廃業後2年以内である場合、もしくは同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合、市町村ごとに定める額(※)を上限に、実際の家賃額を原則3カ月間(延長は2回まで最大9カ月間)支給される制度。
・個人向け緊急小口資金・総合支援資金相談コールセンター⇒0120-46-1999
・住宅確保給付金相談コールセンター⇒0120-23-5572