以下、目次となります。
投資と貯蓄
例えば、預金は銀行が、また債券は発行した会社が元本や利子の支払いを保証しているため、安全性が高いといえます。特に預金の場合は、預け先の銀行が万一、経営破綻した場合でも、預金保険の対象になっている預金であれば、元本1,000万円と利子が保護されます。
ただし、投資によってもたらされる利益は、投資する時点では、「期待するもの」であって、「確実なもの」ではありません。そのように、投資は不確実な要素を持っていますが、その一方で貯蓄よりも高い「収益」を得る可能性も持ち合わせています。
リスクとリターン
金融商品には、必ず「リスク」が伴います。リスクとは一般的には危険、避けるべきと考えられていますが、金融の世界では、リスクは不確実性のことを指しており、期待したリターン(収益)が予想を上回ったり下回ったりする可能性があることを意味します。
リスクとリターンには、密接な関係があります。リスクが低ければ、その分リターンが低くなり、高いリターンを望めば、その分リスクも高くなります。元本割れを避けたいと考える人であれば、リスクが少ない預金や債券等の金融商品が適しており、高いリターンを望む人は、リスクの高い株式や投資信託等の金融商品を選ぶことになります。
長期、積立、分散投資
例えば、平成28年度の金融庁レポートによると、過去20年間(1995年~2016年末)の家計金融資産は、株式や投資信託等に多くの資金を回していたアメリカの方が、預貯金の割合が高い日本に比べて家計の金融資産が増えています。
アメリカは金融資産が3.32倍に増えているのに対し、日本は1.54倍なので、かなりの差があります。株式や投資信託は元本が保証されていませんが、代わりに預貯金に比べて大幅な増額があるため、投資にお金を回したほうが家計の金融資産が増えると期待できるといえます。
投資にはリスクが伴うことは先ほど述べたとおりです。しかし投資には、次のような3つの基本を押さえることで、投資のリスクを減らすことが可能です。
ⅰ 長期投資
長期投資とは、運用期間が長ければ長いほどメリットが大きくなる「複利効果」の活用です。複利効果とは、元本についた金利を次の投資にも活用して、どんどん元本を増やしていく運用方法で、例えば、毎月2万円ずつ20年間積立てたとしますと、元本は2万円×12カ月×20年=480万円です。これを、年利3%の複利で運用したとすると、約657万円になる計算です。
また、投資によるリターンを安定させる上では、長期間にわたって継続的に保有することが有効とされています。平成27年度の金融庁レポートによると、過去30年間の各年に国内外の株式・債券に投資を行い、その後売却せずに保有し続けたものとすると、保有期間を5年とした場合、リターンは安定せず、マイナスとなっている場合もあるのに対し、保有期間20年の場合には、リターンは概ね2~8%で安定していると報告されています。
ⅱ 積立投資
低金利時代の今、銀行の定期預金で毎月得られる利息はないに等しいものです。それなら少額でも運用に回せるお金を、毎月積立投資するという方法があります。
「ドルコスト平均法」といわれる資産運用の方法で、価格が変動する金融商品を、一定の金額で、定期的に購入していく方法です。わかりやすく言えば、「毎月1日に1万円分、ある金融商品を購入する」といったルールを決めてしまう方法です。
この方法なら、金融商品の高い時は少ししか買えず、安い時にはたくさん買えます。長い目で見れば、平均購入単価は平準化し、時間を分散することができます。これなら金融商品を一度に集中して購入して、大損を出すといった事態を防ぐことができます。長期的な資産運用に向いた手法だといえます。
ⅲ 分散投資
投資の世界には、「一つのカゴに卵を盛るな」という格言があります。これは、カゴを落とすと卵が全部割れてしまうので、その危険を分散して避けるという意味です。分散投資には、投資資産全体のリスクを小さくする効果があります。
投資対象となる金融商品には、様々なものがありますが、それぞれの金融商品は常に同じ値動きをするわけではありません。例えば、株式と債券では、経済の動向等に応じて異なる値動き(例えば株式が値上がりするときには債券が値下がりするなど)をすることが多いと言われています。
こうした金融商品の間での値動きの違いに着目して、異なる値動きをする金融商品を組み合わせて投資を行うのが、分散投資の手法です。こうした手法を取り入れることで、例えば特定の金融商品が値下がりした場合には、他の金融商品の値上がりでカバーするということで、保有している金融商品の間で生じる価格変動のリスクを軽減することができます。
- この記事でのポイント
・「貯蓄」は、将来のためにお金を蓄えること。
・「投資」は、利益を得るために資産を投下すること。
・リスクが低ければ、その分リターンが低くなり、高いリターンを望めば、その分リスクも高くなる。
・投資は、3つの基本(長期投資、積立投資、分散投資)を押さえることがポイント。