以下、目次となります。
新型コロナウィルスの現状
今、新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」という。)が猛威を振るっています。感染者数も、令和2年5月12日現在で、国内で1万5905人、死者数657人を数え、世界では195の国・地域で、感染者数410万人、死者数28万人となっています。
新型コロナの特徴は、同じウイルスの感染症で過去の中国で流行ったサーズと比較すると、サーズは感染した人の大部分が重症化し、重い肺炎を引き起こしますが、そういう重症者をしっかり隔離してしまえば、感染の広がりを抑えられます。これに対し、新型コロナは、軽症や無症状の例が比較的に多く、感染した人を全員特定して隔離するということが難しいといえます。さらにサーズは主に肺で増えますが、新型コロナはのどでも肺でも増えますので、重症化を引き起こす上に、軽症例でも感染力が強いという厄介なウイルスといえます。
新型コロナによる肺炎が最初に確認されたのは、中国の湖北省武漢市でした(令和元年12月31日)。その後感染は拡大し、中国政府は本年1月には武漢市を封鎖し、感染阻止に努めましたが、その勢いは世界の各国に及び、3月11日にはWHO(世界保健機関)が「パンデミック」(世界的流行)の状態と認定しました。
日本では、本年2月、大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が発生し、以後国内でも感染者が拡大し、4月7日には安倍首相が、7都道府県を対象に「緊急事態宣言」を行い、4月16日には緊急事態宣言の対象区域を全国に拡大しました。さらに、新型コロナの感染拡大に伴い緊急事態宣言を5月31日まで延長することを表明しました。
今回のコロナ禍で影響が大きいのは、中小企業の経営者や、自営業者(個人事業主)、フリーランス、アルバイト・パートなどで働いている人で、仕事が激減し、大打撃を受けている現状にあります。このため、政府は今年度の補正予算に盛り込んだ緊急経済対策で、様々な支援策を講じています。
ここでは、これら政府の主な支援策をご紹介するとともに、コロナ禍に対応した個人の生活防衛策についてその考え方等をご説明したいと思います。
政府の支援策(第一次補正予算の内容)
ⅰ 10万円の給付金(特別定額給付金)
・日本に住むすべての人に一律10万円を配る。
・市区町村が、郵送かインターネットによる申し込みの方法で、世帯主に世帯全員分を一括で支払う。
ⅱ 持続化給付金
・売り上げが減った中小企業に最大200万円、個人事業主に同100万円を給
・売り上げが今年1~12月で、前年同月に比べ50%以上減った月があった場合
ⅲ 中小企業の資金繰り
・中小・小規模事業者への実質無利子融資
ⅳ 休校中の学習支援
・休校が続く子どもの学ぶ機会を保証するため、小中学生に1人1台のパソコンなどを確保する構想を前倒しで実施
政府の支援策(その他支援策)
項目 | 名称 | 内容 |
生活費 | 緊急小口資金 | 休業者向け。無利子で最大20万円借りられる。 |
総合支援資金 | 失業者向け。単身世帯は45万円、2人以上世帯は60万円を無利子で借りられる。 | |
仕事 | 傷病手当金 | ケガや病気の場合、条件を満たせば平均の平均報酬月額の3分の2を受けられる。 |
休業手当 | 勤め先の指示で休む場合、直近3カ月の平均賃金の6割以上を受け取れる。 | |
小学校休業等対応助成金等 | 休校中の子どもの世話で休んだ従業員の給与を全額支払った勤め先に、日額上限8,330円助成。フリーランスには日額4,100円を支給。 | |
住まい | 住居確保給付金 | 住まいを失った人や失いそうな人向け。原則3か月分の家賃相当額を支給する。 |
税、社会保険料、公共料金 | 支払い猶予 | 税は原則1年支払い猶予。社会保険料、電気・ガス・水道料金も猶予あり。 |
全般 | 生活保護 | 自助努力をしても基準以下の収入しかない場合、生活費や住居費などのお金を受け取れる。 |
政府の支援策(第2次補正予算(検討中の案))
ⅰ 事業者への家賃支援策
・売り上げが半減するなどした中小事業者に、家賃の最大3分の2を助成する。6月分 から半年間が対象(助成の上限は、中小企業月50万円、個人事業主25万円)
ⅱ 経済的に困窮する学生たちへの支援策
・学生1人当たり10万円給付
・特に困っている学生に20万円給付(住民税非課税世帯かどうかを1つの目安)
ⅲ 雇用調整助成金
・雇用調整助成金は、新型コロナの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が、休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する制度で、助成額の上限を現状の1人当たり日額8,330円から、15,000円に引き上げる。
- この記事でのポイント・政府の支援策の内容をしっかり確認しましょう。
・10万円給付以外にも持続化給付金、中小企業の資金繰り等の支援も盛り込まれている。
・第2次補正予算も現在検討されているため、今後の支援内容にも注目する必要あり。