将来に備えた年金対策②

年金制度は比較的安心していいんですね。ほっとしました。ただ、出来れば多くもらいたいので対策もお聞きしたいです。
前回は年金制度について解説致しました。もちろん、若いうちから対策していれば将来もらえる額を増やすことも可能です。今回はその対策についてご説明していきますね。

 

少子高齢化のこの時代、若い方は自分の年金がもらえないのではないかとの不安があると思います。また、今のうちから何かしらの対応ができるのであれば知っておきたい方も多いでしょう。この記事では将来に対しての年金対策について解説していきたいと思います。

 

以下、目次となります。

厚生年金への加入、年金の繰下げ受給、付加年金への加入

公的年金だけでは、老後のゆとりある生活は難しいと考えた場合、人生の早い時期から自助努力によって、不足分を補う必要が出てきます。その対策として、次のような公的年金を増やす方法を紹介します。

ⅰ 厚生年金に加入する
パート、アルバイトで働く場合、厚生年金への加入はある一定の条件を満たすことが必要ですが、その条件が年々緩和されています。厚生年金に加入すると、将来もらえる年金額が増えます。その上、保険料は労使折半なので、企業が半分負担してくれます。

例えば、厚生年金保険に40年間加入し、毎月8,000円の保険料(会社も同額負担)を納めた場合、将来受け取る年金額は毎月19,000円増えます。

※加入条件(平成28年10月現在)
…従業員500人以上の会社で、1週間あたりの労働時間20時間以上、1か月あたりの賃金88,000円以上、雇用期間1年以上、学生でない等なお、会社規模等条件の緩和の検討が進められています。

ⅱ 年金の繰り下げ受給
年金は65歳から受給できますが、この年金を受給する年齢を遅らせることで、年金を増やすことができます。例えば70歳から年金を受給すると、42%増額されます。仮に年金を20万円もらえる人であれば、28.4万円となり、この金額が一生涯続きます。

ⅲ 付加年金に加入する
国民年金の第1号被保険者(自営業者、学生等)が受給する老齢基礎年金に上乗せされる付加年金の制度があります。これは通常の保険料に月額400円上乗せすると、老齢基礎年金を受け取るときに、「200円×付加保険料納付月数」分が上乗せされて支給されるというものです。

例えば、月額400円上乗せした保険料を20年間行ったとしたら、老齢基礎年金に48,000円(200円×240か月=48,000円)分が上乗せされて支給され、生涯受け取ることができます。

財形年金貯蓄を始める

ⅳ 財形年金貯蓄を始める
財形年金貯蓄は、財形貯蓄制度のうちの一つです。財形貯蓄制度とは、給料から一定額を天引きして、企業が契約銀行にその金額を送金する(預金する)というものです。

この財形貯蓄という制度は、資金の使用目的によって、使用目的が自由な一般財形貯蓄、使用目的が住宅の購入・建設・リフォームに限られる財形住宅貯蓄、使用目的が老後への資金づくりに限られる財形年金貯蓄の3種類に分けることができます。(一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄については説明を省略します。)

財形年金貯蓄は、勤務先の会社が財形貯蓄制度を導入していなければ利用することができません。(自営業や会社役員の方も利用できません。)対象となるのは、契約締結時に55歳未満の勤労者であることが必要で、5年以上の期間にわたり、定期的に積立を行うことが条件とされています。

引き出しは貯蓄開始から1年後から可能となります。非課税措置として、老後の資金という目的に対する払出しの場合のみ、元利合計550万円を限度に利子等が非課税となります。

財形年金貯蓄の利率は、銀行の定期預金と同じ金利で、どの銀行でも0.01%(2019年2月現在)となっています。したがって、この貯蓄によって利益を生み出すことは非常に難しいといえます。

注目すべきところは、「年金の給付は、60歳以降5年以上にわたり定期的に受け取ること」なっており、公的年金の受給年齢が65歳からの現状から、60歳で退職した場合には、60歳から65歳までの5年間を補うことができます。

財形年金貯蓄のメリットは、給与天引きによって着実に預金が行われる点です。老後に向けての確実な資金づくりという点から、自分でお金を管理することが苦手な人にとっては、有効な方法だといえます。

 

iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入、つみたてNISAの利用

ⅴ iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
iDeCoは、加入者が毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された定期預金、保険、投資信託といった金融資産で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。(60歳になるまで、引き出すことはできません。)

日本在住の20歳以上60歳未満の方であれば、原則誰でも始めることが可能です。毎月の掛け金は、5,000円から始めることができ、上限金額は、月額、自営業者で68,000円(専業主婦23,000円他)となっています。

iDeCoには、次の3つの税制メリットがあります。
㋐ 掛金の全額所得控除 ㋑ 運用益の非課税 ㋒ 受け取り時の税制優遇

ⅵ つみたてNISAを利用する
つみたてNISAは、iDeCoよりも気軽に老後資金を貯めることができます。iDeCoは60歳になるまで引き出すことができませんが、つみたてNISAはいつでも引き出すことができます。また、積立期間中の口座管理手数料がかかりません。

非課税になる限度額は年間40万円、最長20年間運用ができます。投資対象は投資信託とETF(市場で取引される投資信託)となっており、元本確保型の商品を選べるiDeCoと比べると選択肢が少ないとも言えますが、投資信託に関しては、金融庁が定める基準を満たした投資信託やETFが選ばれているため、初心者でも運用がしやすくなっています。

つみたてNISAにはiDeCoと違って、掛け金の全額所得控除の制度がありませんので、その点は注意が必要です。

(つみたてNISAとは?)
つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした積立投資専用のNISA(少額投資非課税制度)のことです。従来からあるNISA(通称・一般NISA)同様、投資で得られた売却益(譲渡益)や分配金は非課税の対象となります。

一般NISAというのは、2014年にスタートしましたが、金融庁がNISAを導入した背景には、現役世代を中心とした一般の人に、安定的に資産を形成してもらうという狙いがありました。そのためNISAは、「長期、分散、積立投資」ができる制度設計になっており、かつ、投資の利益に対して一定期間非課税という税制優遇措置が取られました。

ところが制度がスタートしてみると、主に一般NISAを利用しているのは60代、70代の高齢者で、短期の運用で利益を上げる人たちがが多く、NISAの積立による利用は、総口座数の1割以下に留まっています。そこで、一般の人が安定的に資産を形成できるよう、長期にわたり分散、積立投資ができる制度を作ろうと、新たに誕生したのが「つみたてNISA」です。

つみたてNISAの特徴は、毎年の非課税枠(上限金額は年間40万円)までの投資で得られた利益に対し、最長20年間非課税になることです。上限金額一杯を20年間積立てたとすると800万円の投資元本を非課税で運用できることとなります。

つみたてNISAで購入できる金融商品は、すべて金融庁による一定の基準をクリアした投資信託・ETFです。それらの金融商品が基準を満たしているからといって、必ず値上がりすることは保証されていませんが、初心者に不向きなものや積立投資に適さないものは最初から除かれているので、投資初心者でも投資先を選びやすくなっています。

 

  • この記事でのポイント

    将来の年金対策には以下のものがあります。各内容を理解し、無理のない対策を行ってください。
    ⅰ 厚生年金に加入する。
    ⅱ 年金の繰り下げ受給。
    ⅲ 付加年金に加入する。
    ⅳ 財形年金貯蓄を始める。
    ⅴ iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する。
    ⅵ つみたてNISAを利用する。