以下、目次となります。
現在の年金制度について
公的年金は、現在働いている現役世代が払った保険料を高齢者の年金給付に当てることで成り立っており、「世代間の支え合い」に基づいた制度です。このような方法を賦課方式といいます。
これに対し、自分で積み立てたものを将来自分が受け取る形を積立方式といいます。賦課方式の場合、少子高齢化や寿命の延びが原因で、年金給付に対し保険料収入が減って、将来的に破綻するのではないかという懸念が、若い世代に広がっているのも事実です。
この点について、日本の年金制度がそう簡単に破綻するような制度ではないことも知っておくべきです。今後増えていく年金額を支えるためには、保険料の引き上げが必要ですが、そうなると現役世代の負担が際限なく増えてしまいます。
そこで、2004年に年金財政の枠組みを抜本的に改正し、保険料の引き上げを一定期間行った後は、自動的に財政のバランスを取る仕組みを導入しました。その内容は、保険料は一定期間の引き上げ後は、これを増やさず、足りない分は国庫負担と積立金を使い、調整は年金額で行うというものです。
この点について、国の財政が悪化した場合、国庫負担や積立金が出せないことになりますが、厚生労働省の2014年財政検証結果レポートでは、2110年(100年先)までの国民年金及び厚生年金に係る財政の見通しは、年金財源が不足する事態には至らないとしています。
年金はいくらもらえるのか?
年金の給付水準に「所得代替率」を使います。
所得代替率とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すものです。
仮に所得代替率が50%であれば、現役世代の手取り収入額の50%が年金額となります。財政検証によると、2014年度の所得代替率は62.7%であるのに対し、2050年度には50.0%~51.0%となる見込みです。
年金不足への対応
- ⅰ 厚生年金に加入する。
ⅱ 年金の繰り下げ受給。
ⅲ 付加年金に加入する。
ⅳ 財形年金貯蓄を始める。
ⅴ iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する。
ⅵ つみたてNISAを利用する。
- この記事でのポイント
・厚生労働省のレポートでは、100年先までの国民年金及び厚生年金に係る財政の見通しは、年金財源が不足する事態には至らないとしている。
・2014年度の所得代替率は62.7%であるのに対し、2050年度には50.0%~51.0%となる見込み。