連帯保証人には極力なるな!?

聞いてください!知人の連帯保証人になったら本人じゃなく私に返済を求めてきたんです。本人に返済を求めるべきですよね?
連帯保証人は保証人の中でも立場が悪い保証人です。内容をしっかり理解してからなることをおススメします。

 

保証人と言うと、一般的には借金をした人が支払い不能な事態に迫った時に債権者から支払いを求められる担保役となる人物を指します。その中でも『連帯保証人』は保証人制度の中でも立場が悪いと言わざるを得ない保証人になります。その内容を本日はご説明しますので、連帯保証人をお願いされた場合はより慎重な対応を肝に銘じていただけたらと思います。

 

以下、目次となります。

 

保証人とは?

保証人は、主に金融取引や契約において、借り手や契約者が約束事を守らない場合に備えて責任を負う人のことを指します。つまり、保証人は、借り手が債務不履行や契約違反をした場合に、債権者や契約相手に対してその債務や義務を履行する責任を負います。

例えば、銀行の融資契約において、借り手が返済義務を果たせなくなった場合、保証人がその債務を代わりに負うことがあります。同様に、賃貸契約においては、家賃の滞納が生じた場合に保証人がその支払いをすることが求められることがあります。

保証人になる場合には、みなさんも自己の信用や財政状況に注意を払う必要があることはわかっている方が多いことでしょう。

 

保証人のリスク

具体的には、保証人には次のようなリスクを伴う点で注意が必要です。

  1. 経済的リスク: 保証人は、借り手や契約者が債務を履行できなくなった場合、その債務を代わりに負うことになります。これは予期せぬ経済的負担を引き起こす可能性があります。保証人が債務を履行することで、自身の資産や信用が影響を受ける可能性があります。
  2. 信用リスク: 保証人となった者の後々の信用問題につながる恐れがあります。借り手が債務不履行すると、保証人がその債務を代わりに負うことになりますが、このことが保証人の信用に悪影響を与える可能性があります。これは将来の融資や契約において、保証人が不利な条件で取引をすることにつながる可能性が出てきます。
  3. 法的責任: 保証人は契約上の約束を果たすために法的責任を負います。もし借り手が契約違反を犯した場合、保証人は法的な措置を受ける可能性があります。これには訴訟や債権者からの追加の要求が含まれます。
  4. 情報の不足: 保証人が契約を行う際に、十分な情報が提供されていない場合があります。特に家族や友人などの個人的な関係で保証人となる場合、感情的なつながりが物事の客観的な判断を妨げることがあります。情報不足はリスクを増大させる可能性があります。

保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人は、契約や融資における責任の形態に関連していますが、それぞれ異なる役割と責務を果たします。

上述の保証人をまとめると、

    • 保証人は、主に債務の返済や契約履行に関する責任を負う。
    • 借り手や契約者が義務を果たせなくなった場合、保証人がその債務を代わりに履行する。
    • 保証人の責務は、主となる契約者が義務を果たせなくなった場合に限定されるため、一般的には補償の範囲が限られている。

一方の連帯保証人は、主となる契約者と同等の責任を負う保証人の一種です。借金や契約に関する義務を果たさない場合、連帯保証人は主契約者と同等の範囲で責任を負います。

要するに、保証人は主となる契約者の責任を限定的に補完する形で責任を負う一方で、連帯保証人は主となる契約者と同等の責任を負う点で異なります。

それを端的に表現した言葉として、連帯保証人には次の権利がありません。

・催告の抗弁権(民法452条)
・検索の抗弁権(民法453条)

この2つの権利がないことが非常に保証人の中でも辛い立場に追い込まれることになるのです。

 

催告の抗弁権、検索の抗弁権がないとは?

催告の抗弁権、検索の抗弁権とは以下の権利です。

催告の抗弁権⇒債権者が保証人に保証債務の履行を請求してきた場合には、保証人は「先に主債務者に対して債務の履行を催告せよ」と債権者に主張することができる権利。
検索の抗弁権⇒保証人が「主債務者には弁済をする資力があり、かつ、執行が容易である」と立証した場合には、債権者は先にその主債務者の財産から取立てをするよう主張できる権利。

これらの権利が「ない!」点に注意が必要です。

もし友人Aさんが借金をする契約をXさんからしたとします。

あなたが保証人になれば、上述の保証人の定義から友人Aさんが借金を返済できない時に返済を要求されると考えるはずです。

あくまでも返済をするのは契約の当事者であるAさん。

しかし、連帯保証人には催告の抗弁権がないのです。ですので、もしあなたが連帯保証人になってしまえば、XさんはAさんでなくあなたに借金を返済して!と言えるということになるのです。

あなたは困りますよね。あくまでもお金を借りているのはAさんであなたが借りたわけではないのです。それなのに、Xさんがあなたにお金を返せ!と言われた際に「Aさんに先に言ってよ!」とは言えず、あなたに返済の義務が課される可能性が出てくることになります。これが「催告の抗弁権がない」ということを意味します。

また、AさんがXさんに返済できるだけのたくさんのお金を持っていたとします。それでもAさんはお金を返さない。そして、あなたに返済を要求してきたとします。

いやいや、Aさんはお金貯めこんでたくさん持っているし、それを証明できたとしてもXさんは知らんぷり。あなたから取り立てができるのです。Aさんから先に取り立てを行ってよ!とも言ったとしても聞く耳を持たなくていいということ。これが「検索の抗弁権がない」と言うことです。

保証人とはお金を返せなくなったから、代わりに返してあげるための制度と思いがちですが、この検索の抗弁権がないことでどんなに裕福でお金をAさんがたらふく持っていてもXさんはあなたにお金の返済を迫ることができるのです。

もちろん、求償権があるので、あなたがお金を支払った場合はAさんに請求することは出来ますが、とんずらされたりすれば払い損ですよね。

このように連帯保証人での契約にあなたが署名すればこれらのリスクを背負うことになるのです。

この地獄のような保証人である連帯保証人

もし、ならざるを得ないような場合でも、契約書をよく読んでどのくらいの債務があるかを確認すること、そしてその債務者(借金をしている人)との関係性もしっかり考えた上で名を連ねることが必要と言えるでしょう。

こちらでも解説されていますので、興味のある方はご確認ください。

この記事でのポイント

・保証人は、借り手が債務不履行や契約違反をした場合に、債権者や契約相手に対してその債務や義務を履行する責任を負う。
・保証人には経済的リスク、信用リスク、法的責任、情報の不足などがある
・連帯保証人は、主となる契約者と同等の責任を負う保証人のこと。
・連帯保証人には催告の抗弁権、検索の抗弁権がない。
催告の抗弁権とは「先に主債務者に対して債務の履行を催告せよ」と債権者に主張できる権利のこと。
検索の抗弁権とは「主債務者には弁済をする資力があり、かつ、執行が容易である」と立証した場合には、債権者は先にその主債務者の財産から取立てをするよう主張できる権利のこと。