以下、目次となります。
コロナにかかった場合の公的な保険
新型コロナウイルスの感染症のための検査(PCR検査)は健康保険適用であり、通常なら3割負担となりますが、公費負担となることが決定したので、感染の有無に関わらず検査費用の自己負担はゼロになります。入院の場合も、新型コロナウイルスが指定感染症と定められたので、入院時の自己負担はなく、公費負担となります。
死亡および休業した場合の公的な保険
ⅰ コロナで死亡した場合
コロナ対策として特別な対応は図られておらず、通常、健康保険では、死亡時に埋葬費50,000円、国民健康保険では葬祭費30,000円~70,000円が支払われます。
また、公的年金制度では,公的年金(国民年金、厚生年金)の加入者等が死亡した場合、生活維持関係など一定の要件を満たす遺族に、遺族基礎年金、遺族厚生年金等が支給されます。
ⅱ コロナで休業した場合
新型コロナウイルスに感染した人は、都道府県知事が行う就業制限対象者になるので、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないとされ、休業手当は支払われません。しかし、感染の疑いがあり、使用者の指示により休業するならば、休業手当の支払い対象になります。そのため、コロナ対応による休業手当は、次の通りとなります。
A 新型コロナ対応休業支援金
新型コロナウイルスの影響でやむなく休業した場合に、勤務先から休業手当が支払われない場合に、個人が国から直接補償が受けられる制度で、中小企業で働く従業員等が対象になります。補償額は、休業前賃金の80%、上限33万円を休業実績に応じて支払われます。
B 雇用調整助成金(新型コロナ特例)
従来からある制度で、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者を解雇せずに一時的に休ませるなどして、労働者の雇用を維持した時に支払われる助成制度で、個人への給付でなく、国から事業主へ給付されます。
今回のコロナ禍を受けて、雇用調整助成金の制度を拡大することで、国が広く労働者の雇用維持を図ろうとするものであります。
従来の給付額は、一人当たり日額上限8,330円でしたが、新型コロナ特例により、一人当たり日額上限15,000円が給付されます。
ⅲ 傷病手当金
会社員等が業務外の事由による病気、けがの療養のために連続して3日以上仕事を休んだ場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。
新型コロナウイルスに感染して仕事を休んだ際も、傷病手当金の対象となります。支給額は、「(直近の継続した3か月間の給与収入の合計額÷就労日数)×2/3×就労予定日数」です。
民間の保険でカバーできるもの(医療保険、通院、入院など)
新型コロナウイルスに感染し、医師の指示により入院した場合、通院した場合、手術をした場合いずれも医療保険から給付金が支払われます。オンライン診療、電話診療の場合も医師の証明書の提出を条件に、給付金が支払われます。
検査費用は、もともと医療保険には「検査費用給付金」という項目は設けられていないため、特に給付はありません。但し、感染疑いでの検査入院の場合は、検査の結果が陽性、陰性どちらの場合も医療保険の医療対象になります。
軽症者や症状のない患者をホテルや自宅で療養する場合も、特例措置として医療保険の給付金の対象とすることが発表されています。給付の条件としては、治療期間を確認できる医師の証明書の提出が必要になります。
コロナ対応に新たな民間の保険は必要?
上記より、新型コロナウイルスにより、入院、退院、手術等を行った大半のものが給付金の対象として支払われるので、従前の医療保険で十分対応可能であり、新たなコロナ対応の保険に入ることは不要と考えます。
この記事でのポイント
・入院の場合も、新型コロナウイルスが指定感染症と定められたので、入院時の自己負担はなく、公費負担。
・コロナ対応による休業手当は、新型コロナ対応休業支援金、雇用調整助成金(新型コロナ特例)がある。
・入院、退院、手術等を行った大半のものが給付金の対象として支払われるので、従前の医療保険で十分対応可能。
・新たなコロナ対応の保険に入ることは不要。