相続税対策②

前回の相続税対策は大変勉強になりました。知っているのと知らないのとでは大きな違いですよね。具体例とかあったら教えてください。
はい。「例えば、Aさんに妻と子供がふたり(B及びC)いる家庭で、Aさんが次のような内容で財産を残して亡くなった場合、各人の相続税の負担はどうなるか」具体的な数字を使ってご説明したいと思います。

 

人が亡くなった際には、遺言等が無ければ、原則、法律で定められた相続人にその人の財産は相続されます。しかし、この財産には相続税がかかるため、ある程度の対策をしておかないと、支払いが困難になるケースも見受けられます。前回はその対策を説明しましたが、今回は具体的な例を挙げて解説したいと思います。

 

以下、目次となります。

相続財産(課税価格の合計額)が4500万円あった場合

3人の基礎控除額が4800万円となり、3人とも相続税負担はありません。

※前回の記事で説明させていただきましたが、基礎控除額の計算方法は、基礎控除額=3000万円+600万円×3人(法定相続人数)となります。

 

相続財産(課税価格の合計額)が6000万円あり、法定相続割合(妻1/2、子ども1/4)で相続した場合

3人の基礎控除額4800万円を差し引くと、1200万円となり、相続額は妻600万円、子ども各300万円となりますが、妻は配偶者の税額控除があり1億6000万円まで相続税がかかりません。

子どもは、税率10%の税金がかかり、BもCも30万円の相続税負担となります。

 

Aさんが、生前にその財産の中から、子どもBに毎年100万円の贈与を10年間行い、その結果、相続財産が5000万円になった場合

相続財産から基礎控除額4800万円を差し引くと、200万円となり、相続額は妻100円、子ども各50万円となります。この結果、相続税は妻0円、子どもB及びCは各5万円となります。
(相続税計算式は下記(参考)をご参照ください。)

 

Aさんが、生前にその財産の中から、子どもCに対し、一時払い終身保険(800万円の保険料で1000万円の保険金)に加入し、その結果、相続財産が5200万円になった場合

生命保険の非課税枠は500万円×3=1500万円で、子どもCの一時払い終身保険は非課税枠の範囲内なので、みなし相続財産として課税価格の合計額に含める必要はありません。

相続財産から基礎控除額4800万円を差し引くと、400万円となり、相続額は妻200万円、子ども各100万円となります。その結果、相続税は妻0円、子どもB及びCは各10万円となります。
(相続税計算式は下記(参考)をご参照ください。)

(参考1)相続税の算出法(一部)
相続財産の取得額         税率   控除額
1000万円以下            10%
1000万円超~3000万円以下       15%    50万円
3000万円超~5000万円以下          20%   200万円
5000万円超~  1億円以下       30%   700万円

(参考2)課税価格の計算式は次の通り
本来の相続財産(現金、預貯金、不動産等)+みなし相続財産(死亡保険金等)-非課税財産(墓地、仏壇等)-債務・葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産+相続時精算課税制度を適用した贈与財産

 

  • この記事でのポイント
    ・基礎控除額の計算方法は、基礎控除額=3000万円+600万円×3人(法定相続人数)
    ・妻は配偶者の税額控除があり1億6000万円まで相続税がかからない。
    ・生命保険では「500万円×法定相続人数」までは相続税の課税計算において、非課税。