奨学金制度について

新型コロナウィルスの影響で学校が休学になっていますが、大学生の中にはバイトが出来ないために学費が払えず退学を考えている人もいると聞きます。
親の援助の少ない大学生にとっては、現在の状況は大変な事態です。急な解決を提案するのは難しいですが、奨学金制度について今回は解説したいと思います。

 

新型コロナウィルスの影響で私たちの生活スタイルは大きな変化を迫られる中、家計の苦しい世帯では死活問題にもなっています。特に学生はアルバイトにより学費や生計を維持していた人も多く、学生生活を送ることもままならない学生も出てきています。国の政策転換が今後は必要となりますが、現在の制度において対策となりうべく奨学金制度について本記事では解説していきます。

 

以下、目次となります。

奨学金の利用者

新型コロナウィルスは、学生の生活にも影を落としています。今回は、国の将来を担う人材輩出のためになくてはならない奨学金制度について、取り上げてみたいと思います。

日本学生支援機構が行った「2014年度学生生活調査」では、大学生(中間部)の51.3%が奨学金を利用していることが明らかになりました。

2002年度の調査では31.2%であったのに対し、12年間で20.1%も増加したことになります。受給者が増加した背景には、保護者である親の年収の減収や、授業料や入学金の上昇等が挙げられます。

大学生が1年間に必要となる学生生活費の平均は、授業料や通学費用などの「学費」と、住居・光熱費や食費などの「生活費」を合わせて190万円程度だと言われていますが、これらの必要資金のうち、家庭からの援助が全体の6割以上を占め、奨学金での補填は2割程度とされています。

奨学金制度

「奨学金」制度は、成績が優秀でも経済的理由で大学への進学が困難な学生に、国や機関が金銭の給付や貸付を行うもので、従来の日本学生支援機構の奨学金は、貸与型の第一種奨学金(無利子)と第ニ種奨学金(有利子)の2種類あり、利用が図られてきました。

2017年度からは給付型の奨学金制度がスタートし、住民税の非課税世帯で一定の学力を有する等の学生に、返還不要の資金を提供するなど、奨学金の返済に不安を感じる利用者にとって、望ましい制度となっています。

奨学金利用者の1人当たりの平均貸与総額は、2016年3月末で、第一種奨学金は236万円、第二種奨学金は343万円で、返還月額平均は、15,000円前後です。

奨学金制度の問題点

制度の問題点としては、日本学生支援機構の奨学金を利用した学生は、そのうちの約2/3が有利子の第二種奨学金であり、就職難や低収入が原因で返還に支障をきたす人が増えていると言われています。

また滞納の理由として、返還が必要であることを知らずに奨学金を受給したケースが多いことも浮かび上がっています。

返還を滞納してしまうと、延滞金の賦課、督促、個人信用情報機関への情報提供などが行われ、将来、住宅ローンやクレジットカードの審査に通らなくなる恐れがあるなど不利益を被ることも予想されるので、注意が必要です。

 

  • この記事でのポイント

    大学生(中間部)の約5割が奨学金を利用している
    ・2017年度からは給付型の奨学金制度がスタート。住民税の非課税世帯で一定の学力を有する等の学生に、返還不要の資金を提供している。
    ・奨学金利用者の1人当たりの返還月額平均は、15,000円前後。
    ・返還を滞納してしまうと、将来、住宅ローンやクレジットカードの審査に通らなくなる恐れあり。