新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」という。)の影響で、生活困窮者が大変な思いをしているのは前回述べた通りです。政府の政策も後手を踏んだ感は否めません。しかし、緊急事態宣言の効果からか、少しずつ感染者数は減ってきています。今回は、緊急事態宣言発出に係る政策等についてまとめてみたいと思います。
以下、目次となります。
目次
なぜ緊急事態宣言を行う必要があるのか
新型コロナウイルス(以下「新型コロナ」という。)は、国内では昨年1月16日に初めての感染者が確認されました。2月には初の死者が出、3月下旬以降に感染者が急増しました。3月27日には全国での1日の感染者数が始めて100人を超えました。
当時の安倍晋三首相は4月7日の会見で、「医療現場はまさに危機的な状況。もはや時間の猶予はないという決断に至った」などと述べ、東京都と神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の計7都府県を対象に、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発出しました。
その後対象地域は全国に拡大されました。感染者数の減少(1日当り50人程度)に伴い、緊急事態宣言は段階的に解除され、5月25日に全都道府県で解除されました。この緊急事態宣言期間中のピークとなった4月下旬ごろを「第1波」と呼んでいます。
緊急事態宣言の解除後、新規感染者は一時的に減少しましたが、その後、接待を伴う飲食店など繫華街での感染が多く報告され、感染が全国に広がっていったことが、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会(以下「コロナ分科会」という。)でも指摘されます。
この時期の感染者は若い世代が多かったのが特徴です。この時期を「第2波」と呼んでいます。第2波での感染者数は、8月上旬~中旬をピーク(1日当り1,600人程度)に減少傾向に入りましたが、第1波の時のようなペースでは下がり切らず、一定の感染レベルが維持された「下げ止まり」状態が続きました。クラスター(集団感染)発生の場も、繁華街や病院だけでなく、職場や会食の場でも目立つようになりました。
11月上旬から再び全国的に感染者数が増加し、幅広い地域、幅広い年代層に感染が広がっていることが確認されています。、この時期から現在までを「第3波」と呼んでいます。この第3波の特徴は、職場や学校、会食などで感染した人が家庭内に持ち込んだとみられる「家庭内感染」が目立ってきています。
新型コロナでは、年齢が高いほど重症化しやすい傾向がありますが、第3波では、感染者の年齢層が上がり、重症者が出るタイミングが早まっているという指摘もあります。
この間、令和2年9月に、安倍首相から菅義偉首相に政権移譲が行われ、菅首相は、新型コロナの感染拡大防止を最優先課題としつつ、経済活動との両立を目指すという基本方針のもとに、政権のスタートを切りました。
新政権は新型コロナの感染拡大が落ち着いてきたという現状認識もあり、7月に始まっていた消費喚起策「Go.Toトラベル」を10月以降、東京都を対象に加えるなど拡大する方針を決めました。また、全世界からの外国人受け入れを一部再開する「水際対策」の緩和も決めました。
11月5日には、新規感染者数1,049人と2カ月半ぶりに1千人を超し、コロナ分科会は、新型コロナの感染者が急増していることを受け、11月9日に「感染者を減らす取り組みを強めなければ、急速な感染拡大に至る可能性が高い」という緊急提言をまとめました。
11月18日には、過去最多となる新規感染者数2,202人が確認されました。感染拡大はさらに続き、コロナ分科会は11月20日、一部の都道府県が感染急増段階の「ステージ3」に入りつつあるとし、これらの地域で「GoToトラベル」の運用見直しを求める提言書をまとめました。
しかしながら、菅首相はGoToトラベルの推進を優先した結果、新規感染者数や重症者数の増加に歯止めがかからず、感染者の拡大が続きました。菅政権は11月末には「勝負の3週間」として、集中的な施策行い、新型コロナの感染拡大の鎮静化を目指しましたが、医療現場はひっ迫度を増し、地方への感染の広がりもみせ、「勝負の3週間」は成果が上がりませんでした。
コロナ分科会は、12月12日、GoToトラベル事業の一時停止を検討するよう改めて提言しました。これを受けて菅首相は、感染拡大阻止や医療機関の負担軽減のため、最大限の対策を講じるとして、「GoToトラベル」事業を12月28日から翌年1月11日まで、全国一斉に一時停止すると表明しました。
12月19~20日に行われた朝日新聞社の全国世論調査では、菅内閣の支持率は39%(前回11月は56%)に急落し、菅首相が政府の観光支援策「GoToトラベル」を年末年始に全国で一時停止することを決めたタイミングについては、「遅すぎた」が79%でした。
12月31日には、新規感染者数が4,519人と一気に4千人を超えました。東京(1,337人)、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、福岡の5県でも過去最多を更新し、感染は全国各地に広がりました。
菅首相は、「まず今の医療体制をしっかり確保し、感染拡大回避に全力を挙げることが大事だ」などと述べるにとどめ、緊急事態宣言には触れませんでしたが、本年1月2日に東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の知事から宣言発出の要請を受け、知事の要請は重いとして、これまでの慎重姿勢から一転して新型コロナ対応で、緊急事態宣言の検討に入りました。
1月7日菅首相は、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏4都県に出しました。期間は8日から~2月7日までの1か月で、その後 1月13日には、感染者が急増している大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県に対し緊急事態宣言を行い、実施期間は14日から2月7日とし、対象地域は計11都府県になりました。また菅首相は、2月3日、11都府県を対象に7日までを期限にしている緊急事態宣言について、栃木県を解除し、3月7日まで延長することを決めました。
菅内閣のこれまでのコロナ対応は万全だったのか
令和2年9月、菅内閣が誕生し、新型コロナの感染拡大防止を最優先課題としつつ、経済活動との両立を目指すという基本方針のもとに、政権のスタートを切りました。
新政権は新型コロナの感染拡大が落ち着いてきたという現状認識もあり、7月に始まっていた消費喚起策「Go.Toトラベル」を10月以降、東京都を対象に加えるなど拡大する方針を決めました。また、全世界からの外国人受け入れを一部再開する「水際対策」の緩和も決めました。
1日当りの新規感染者数(以下「新規感染者数」という。)は、首相就任後の9月~10月は概ね500人前後で推移しましたが、11月上旬には再び全国的に感染者数が増加し、幅広い地域、幅広い年代層に感染が広がっていることが確認されています。
11月5日には、新規感染者数1,049人と2カ月半ぶりに1千人を超し、コロナ分科会は、新型コロナの感染者が急増していることを受け、11月9日に「感染者を減らす取り組みを強めなければ、急速な感染拡大に至る可能性が高い」という緊急提言をまとめました。
11月18日には、過去最多となる新規感染者数2,202人が確認されました。感染拡大はさらに続き、コロナ分科会は11月20日、一部の都道府県が感染急増段階の「ステージ3」に入りつつあるとし、これらの地域で「GoToトラベル」の運用見直しを求める提言書をまとめました。
しかしながら、菅首相はGoToトラベルの推進を優先した結果、新規感染者数や重症者数の増加に歯止めがかからず、特に重症者の増加が顕著となり(12/1現在で493 人となり、9日連続で過去最多を更新)、医療従事者が不足して、コロナ以外の病気の治療にも支障が出る事態となりました。厚生労働省の専門家組織は、「入院、重症患者の増加が続き、医療体制へ重大な影響が生じる恐れがある」として、最大限の警戒が必要と指摘しました。
菅政権は11月末には「勝負の3週間」として、集中的な施策を行い、新型コロナの感染拡大の鎮静化を目指しましたが、医療現場はひっ迫度を増し、地方への感染の広がりもみせ、「勝負の3週間」の直前の感染者数(週平均)は2,072人でしたが、期間終盤の1週間では、平均2,587人まで増加しました。
また重症者も、直前1週間では平均308人でしたが、期間終盤の1週間では、平均570人と1.8倍になり、期間中の死亡者も687人に上りました。
コロナ分科会は、12月12日、感染状況が「ステージ3」相当と認められる地域について、高止まり、拡大地域については、GoToトラベル事業の一時停止を検討するよう改めて提言しました。
これを受けて菅首相は、感染拡大阻止や医療機関の負担軽減のため、最大限の対策を講じるとして、「GoToトラベル」事業を12月28日から翌年1月11日まで、全国一斉に一時停止すると表明しました。
12月19~20日に行われた朝日新聞社の全国世論調査では、菅内閣の支持率は39%(前回11月は56%)に急落し、菅首相が政府の観光支援策「GoToトラベル」を年末年始に全国で一時停止することを決めたタイミングについては、「遅すぎた」が79%でした。
12月26日には、新規感染者数が3,880人で4日連続で過去最多を更新し、重症者数は654人、死者数は累計で3,234人となり、12月31日には、新規感染者数が4,519人と一気に4千人を超えました。東京(1,337人)、埼玉、千葉、神奈川、岐阜、福岡の5県でも過去最多を更新し、感染は全国各地に広がりました。
菅首相は、「まず今の医療体制をしっかり確保し、感染拡大回避に全力を挙げることが大事だ」などと述べるにとどめ、緊急事態宣言には触れませんでしたが、本年1月2日に東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の知事から宣言発出の要請を受け、知事の要請は重いとして、これまでの慎重姿勢から一転して新型コロナ対応で、緊急事態宣言の検討に入りました。
1月7日菅首相は、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言を、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏4都県に出しました。期間は8日から~2月7日までの1か月で、さらに 1月13日には、感染者が急増している大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県に対し緊急事態宣言を行い、実施期間は14日から2月7日とし、対象地域は計11都府県になりました。
菅内閣のコロナ対策が万全だったかどうかについては、新型コロナの感染状況が悪化の一途をたどり、最終的に宣言に追い込まれたという、後手の対応の感が否めません。
象徴的だったのが首相肝いりの観光支援策「GoToトラベル」で、コロナ分科会が再三トラベルの運用見直しを強く提言しましたが、菅首相はトラベルの推進を優先し、全国の一時停止という強いブレーキを踏んだのは、政府が打ち出した「勝負の3週間」が終わる2日前でした。
この頃には政府のコロナ対策を批判する声が高まり、内閣支持率も急落しており、加えて、多人数での食事の自粛を呼びかけながら、自ら都内のステーキ店で多人数で会食を行ったことで謝罪に追い込まれました。
新規感染者数は、1月8日には7,841人、重症者数は826人となり、いずれも過去最多を更新し、首都圏4都府県への緊急事態宣言の初日も感染拡大に歯止めがかからなくなっています。
菅首相は危機的状況を招いた政治責任を厳しく受け止め、国民の命と暮らしを守る責務を果たすことが求められます。
緊急事態宣言の発出
菅首相は、本年1月7日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発出しました。その主な内容は次の通りです。
⓵ 対象地域及び実施期間
首都圏1都3県…東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
実施期間…1月8日~2月7日
・対象地域の拡大
1月13日には、感染者が急増している大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡、栃木の7府県に対し緊急事態宣言を行い、実施期間は14日から2月7日とし、対象地域は計11都府県になりました。
⓶ 宣言の対象となる感染状況の判断指標
ステージ4(感染爆発)相当
(ステージ4の指標の内容)
病床使用率50%以上、人口10万人あたりの療養者数25人以上、1週間平均のPCR
陽性率10%以上、10万人あたりの新規感染者数25人以上、新規感染者数の前週比
1以上、感染経路不明の割合50%以上
⓷ 主な感染防止対策
ⅰ 外出自粛
午後8時以降の不要不急の外出を住民に徹底
ⅱ 営業時間の短縮
飲食店、バー・カラオケなどに対する営業時間は午後8時まで、酒類の提供は午前11時~午後7時とすることを要請。応じなければ店名公表も
ⅲ 出勤、通学など
出勤者数の7割削減を目指すことを含め、在宅勤務(テレワーク)や交代勤務などを推進する。小中高校・大学、幼稚・保育園などは原則開く。
ⅳ イベントの開催、施設利用の制限
飲食を伴わず、5千人かつ会場の収容率50%以下で開催。午後8時までの営業時間短縮を働きかける。
⓸ 協力金
営業時間の短縮要請に応じた飲食店に対する協力金の上限
1日当り6万円
⓹ 解除の基準
医療提供体制などのひっ迫状況が、コロナ分科会が示す「ステージ3(感染急増)」相当に下がっているかを踏まえ、総合的に判断する。
⑥ 緊急事態宣言の延長
菅首相は、2月3日、11都府県を対象に7日までを期限にしている緊急事態宣言について、栃木県を解除し、3月7日まで延長することを決めました。
新型コロナウイルス対応の特別措置法(以下「特措法」という。)と感染症法の改正案
⓵ 特措法の主な改正案
ⅰ まん延防止等重点措置(新規)
・国民生活・経済に甚大な影響を及ぼすまん延を防ぐため実施
・政令で定める要件に該当する事態が発生した時に、期間、区域を決めて実行区域は基本的に都道府県単位を想定
・期間は6か月以内とするが、延長の制限なし
ⅱ 休業や時短営業、施設の利用、イベント開催(改正)
まん延防止等重点措置時
・専門家の意見聴取後、要請できる。正当な理由なく応じない場合に命令できる
・要請、命令を公表できる。
・命令違反に20万円以下の過料
・国会への報告を付帯決議に盛り込む
緊急事態宣言時
・指示を「命令」に強化。命令を公表できる。
・命令違反に30万円以下の過料
(現行の規定)
緊急事態宣言時のみ要請に応じない場合に指示できる。指示した時は、店名などを遅滞なく、公表しなければならない。
ⅲ 事業者への支援(新規)
・必要な財政上の措置、その他の必要な措置を効果的に講じる。
ⅳ 立ち入り検査(新規)
まん延防止等重点措置等、緊急事態宣言時
・拒否時は20万円以下の過料
⓶ 感染症法の改正案
ⅰ 入院勧告(新規)
措置に応じない場合または入院先から逃走した場合は、50万円以下の過料
ⅱ 積極的疫学調査(新規)
正当な理由なく調査を拒否する、虚偽答弁した場合などに、30万円以下の過料
ⅲ 国と地方自治体の権限強化(改正)
協力要請に正当な理由がなく応じなければ、勧告できる。公表も可。
(現行の規定)
緊急の必要があれば、医療関係者・民間などの検査機関に必要な協力を得られる。
緊急事態宣言の問題点
⓵ 宣言の遅れ
菅首相は、昨年9月の首相就任以来、新型コロナ感染者数の増大にも関わらず、経済活動への悪影響を懸念して、緊急事態宣言には一貫して消極的でした。
コロナ分科会の再三にわたる提言にもかかわらず、「GoToトラベル」の推進を優先し、全国の一時停止という強いブレーキを踏んだのは、政府が打ち出した「勝負の3週間」が結果が出ないまま、終わる2日前でした。
この頃には政府のコロナ対策を批判する声が高まり、内閣支持率も急落しており、加えて、多人数での食事の自粛を呼びかけながら、自ら都内のステーキ店で多人数で会食を行ったことで謝罪に追い込まれました。
その後、新型コロナの感染が急拡大し、医療提供体制のひっ迫に危機感を募らせた自治体の要請に押されて、これまでの慎重姿勢から一転して、緊急事態宣言の発出に至るという菅首相の対応は、全て後手に回るという印象が消えませんでした。
⓶ 宣言地域の拡大
首都圏の1都3県に緊急事態宣言してから1週間もたたないうちに、政府は大阪、愛知、福岡など7府県への対象地域の拡大を決めました。
政府は、全国的に感染が広がるなか、宣言の対象をまず首都圏に絞り、対策を感染リスクが高いとされる飲食店の時短強化に集中させたのも、経済への悪影響を避けたいという思いからだと受け止められますが、悪化する感染状況を前に各知事が追加指定を次々に求め、政府としても追加要請に応じざるを得ない状況になりました。
この追加宣言について、菅首相は「厳しい状況を好転させるためには欠かせない措置だ」と説明しましたが、後手後手感は否めないといえます。
11都府県以外にも、宣言の対象地域に加えるよう求める動きがあり、政府は自治体との連携や専門家との意思疎通を密にするなど、態勢を立て直し、この深刻な状況を乗り切ることが求められます。
⓷ 補償と罰則
国会の論議では、罰則が先行する今回の改正案について、補償と罰則はセットで行われるべきで、十分な補償が行われない段階で罰則が行われるのは問題だとする意見もありましたが、結果的に国や自治体の対応は、必要な財政上の措置などを効果的に講じるということに留まっています。
緊急事態宣言では、時短営業に協力する飲食店等の事業者への政府の支援策は、協力金という形で、1店当たり日額6万円となっていますが、従業員数や店の家賃によっては赤字が避けられない事業者もあるだろうから、前年の収入の一定割合を支給するなど、事業規模に応じた支援が課題となっています。
⓸ コロナ改正法案への罰則導入
政府は当初、コロナ改正法案(特措法及び感染症法)で、特措法改正案では、緊急事態宣言下で事業者が休業や営業時間短縮の命令に応じなかった場合、50万円以下の過料を定める等、また感染症法改正案では、入院を拒否した感染者に対し、刑事罰の1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す等の導入を図りましたが、
刑事罰の導入については、恐怖や差別を引き起こし、コロナ対策への協力が得られなくなるという反対論や、罰則を恐れて検査を受けない人や、虚偽の検査結果を報告する人が出て、結果的にコロナ対策が困難になるという意見も出て、与野党協議の結果、入院拒否などに懲役刑や罰金を科す刑事罰の規定を削除することとしました。
また、特措法改正案の時短などの命令違反に対する過料は30万円以下に減額されました。
⓹ 宣言解除の基準
当初西村経済再生相は、感染の深刻度が上から2番目の「ステージ3」(感染急増)の指標を一つの目安として、総合的に判断していくと発言し、病床使用率や療養者数など6つの指標が、現在のステージ4(感染爆発)から3に下がることを目安とする考え方を示していました。
これに対し医師会の中川会長は、6つの指標について「すべてがステージ2(感染漸増)の基準になるか、あるいはこの状況が続けばステージ2になる可能性が確実になった時点」で解除を検討すべきだとの考え方を示しました。
菅首相は2月2日、特措法に基づく緊急事態宣言を、栃木県を除く10都府県で3月7日まで延長することを決めましたが、10都府県についても、感染や医療の状況が改善すれば、3月7日を待たずに解除する方針を示し、その具体的な目安として、新規感染者数でいえば東京で1日500人、大阪で1日300人を下回ること等を示しました。なお、栃木県を含め解除された場合も、ステージ2相当に改善するまで必要な対策を続けるよう求めていくことを決めました。
この記事でのポイント
・菅内閣のコロナ対策は、新型コロナの感染状況が悪化の一途をたどり、最終的に宣言に追い込まれたという、後手の対応の感が否めない。
・「緊急事態宣言」の主な感染防止対策は、ⅰ外出自粛、ⅱ営業時間の短縮、ⅲ出勤、通学など、ⅳイベントの開催、施設利用の制限
・特措法の主な改正案は、ⅰまん延防止等重点措置(新規)、ⅱ休業や時短営業、施設の利用、イベント開催(改正)、ⅲ業者への支援(新規)、ⅳ立ち入り検査(新規)
・感染症法の改正案は、ⅰ入院勧告(新規)、ⅱ積極的疫学調査(新規)、ⅲ国と地方自治体の権限強化(改正)
・政府は自治体との連携や専門家との意思疎通を密にするなど、態勢を立て直し、この深刻な状況を乗り切ることが求められる。