以下、目次となります。
新型コロナの国内新規感染者数
新型コロナの国内新規感染者数は4月中旬にピークを迎え(4月11日714人)、その間、安倍首相による「緊急事態宣言」が出され、国民の外出自粛要請、都道府県における事業者の営業自粛要請などが行われる中で、徐々に感染者数は減少に転じ、50人を下回る中で、5月25日には、緊急事態宣言が全国的に解除され、自粛解除やイベントの再開が徐々に進められています。
しかしながら、解除後、北九州市ではクラスターにより感染者が急増し、東京でも6月2日に34人の新規感染者を出し、「東京アラート」を発令して都民に注意を喚起するという事態も招いており、6月12日に「東京アラート」は解除されましたが、新型コロナの第2波が、いつ来るかわからないという新型コロナへの対応が、改めて求められているところとなっています。
新型コロナ感染者数は、令和2年5月31日時点で、国内で1万6968人、死者数898人を数え、世界では195の国・地域で、感染者数617万人、死者数37万人となっています。
第2次補正予算
①雇用支援
雇用調整助成金は、新型コロナの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が、休業手当を支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する制度で、助成額の上限を1次補正予算では、1人当たり日額8,330円としていたのを、15,000円に引き上げる。また、労働者が直接申請できる給付金を創設。
②企業の資金繰り支援
政府系金融機関などの無利子融資を拡大。資本注入も実施。融資の上限は、日本政策金融公庫から借りる場合は3億円から6億円に、民間から借り入れる場合3千万円から4千万円に引き上げる。
③事業者への家賃支援
大幅に減収した事業者に月100万円を上限に家賃の一部を最大6か月分支給。売り上げが前年同月より50%以上減少した月があるか、3か月連続で売り上げが30%以上減った事業者が対象。家賃の3分の2が支給され、最大300万円、複数の店を持つ場合は最大600万円を給付する。
④医療体制の強化
新型コロナウイルス対策に向けた医療体制を拡充するため、すでに第1次補正予算で創設していた「緊急包括支援交付金」(1,490億円)を2兆円上乗せする。介護や障害者福祉にも対象を広げ、都道府県と国の折半だった負担割合は全額国庫負担とする。重点医療機関の収入を保障。患者に対応する医療介護従事者等に最大20万円の慰労金を支給。
⑤持続化給付金
第1次補正予算で、売り上げが減った中小企業に最大200万円、個人事業主に同100万円を給付する制度(売り上げが今年1~12月で、前年同月に比べ50%以上減った月があった場合)が設けられたが、第2次補正予算では、さらにすべてのフリーランスの人や、今年創業した事業者等にも対象を拡大。
⑥ひとり親世帯への支援
ひとり親世帯への支援として、低所得家庭向けの児童扶養手当や、遺族年金など、公的年金を受け取っている世帯に、5万円の「臨時特別給付金」を支給。子どもが1人増えるごとに3万円づつ加算。コロナ問題で収入が大きく減少した世帯にはさらに5万円を支給。
⑦地方創生臨時交付金
地域に応じた支援のため、臨時交付金を第1次補正予算の1兆円から、さらに2兆円増額。
⑧予備費
10兆円
国会審議の中での様々な問題
ⅰ 持続化給付金
経産省は手続き業務全体を、一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に769億円で発注。協議会は電通に749億円で再委託していた。電通はさらに業務を子会社5社に割り振り、大手人材サービス会社のパソナ等にも外注している。
これらの委託、再委託等を繰り返す中で利益の中抜きはなかったか、入札についても公正な競争が行われたかなどの問題が指摘されている。
ⅱ GoToキャンペーン
今回のキャンペーンは観光やイベントなどの消費を喚起する目的で、第1次予算で計上されたもの。総事業費約1兆7千万円のうち事務局費用が3,095億円と18%を占めることが疑問視された。政府は事務局を委託する事業者の公募を中止し、改めて支援分野ごとに分ける形で事務局の事業者を選ぶこととなった。
具体的には観光支援策を担う事務局は国土交通省、飲食店の支援策は農林水産業、商店街とイベント業界の支援者は経産省が、それぞれ事業者を公募する。
ⅲ 予備費
政府がお金を使うときは、事前に国会の議決が必要になる。これは「財政民主主義」という憲法が定める大原則による。予備費は憲法で「予見しがたい予算の不足に当てるため」の予算とされ、例外的に政府の裁量で支出を決められるもので、限定的に使うべきものとされている。
これまで、リーマンショック後の当初予算では1兆3千億円が計上され、通常の当初予算では3,500億円程度が目安とされている。政府は、状況の変化に迅速に対応するためと説明するが、予算の透明性や妥当性が保たれているか等問題視される中で、政府は「内閣の責任として支出し、事後に国会の承認を得る」という姿勢を崩していない。
- この記事でのポイント・新型コロナへの対策を盛り込んだ総額31兆9,114億円の今年度第2次補正予算が6月12日に成立。
・新型コロナ感染者数は、令和2年5月31日時点で、国内で1万6968人、死者数898人。
・世界では、令和2年5月31日時点で、195の国・地域で、感染者数617万人、死者数37万人となっている。
・第2次補正予算は、雇用支援、企業の資金繰り支援、事業者への家賃支援、医療体制の強化、持続化給付金、ひとり親世帯への支援など。
・第1次及び第2次補正予算案については、国会審議の中で、様々な問題が露呈する結果となった。