新型コロナウイルスと生活防衛策③(固定費の見直し)

そうなんですねえ。確かにボーナスを期待してしまっているところがありました。考えないといけないですよね。他にも防衛策はありますか?
はい。その他の防衛策として今回は固定費の見直しについて考えてみたいと思います。

 

新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、我が日本国も緊急事態宣言が出され、国民の協力のもと外出自粛を余儀なくされました。少しずつ、状況は改善していますが、まだまだ予断は許しません。前回はボーナス依存度が高い家計の見直しについて解説しましたが、今回は固定費の見直しについて考えていきたいと思います。

 

以下、目次となります。

固定費とは?

固定費とは、家計の中で毎月一定額を支払う経費で、

住宅関連…家賃、住宅ローン、維持費・固定資産税等。
光熱費 …電気、ガス、水道。
通信費 …電話、携帯、インターネット回線。
保険料 …生命保険料、損害保険料、共済掛金等。
教育費 …学校教育費、家庭教育費、習い事等。
車関連 …駐車場代、ガソリン代、保有税等。
ローン返済…車のローン、その他のローン、奨学金の返済等。

等があります。これらの中で、もっとも家計スリム化効果が大きいものとして、住宅ローンの見直しと生命保険の見直しが挙げられます。

住宅ローンの見直し

現在、住宅ローンを返済の人は、現在のローン残高、残りの返済期間、借入金利を確認し、もし、年利1.5%以上の金利で返済しているなら、借り換えを検討することをお勧めします。

住宅ローンの借り換えとは、低金利の住宅ローンを新たに借りることによって得た資金で、現在返済している高金利の住宅ローンを一括して返済することを言います。諸費用分を考慮(約33万円程度)して、借り換えの効果が期待できるのは、一般的に「新規融資との金利差が1%以上、残り期間10年以上、ローン残高500万円以上」が目安となります。

複数の金融機関に相談し、借り換えの試算をしてもらい、諸費用以上の効果が上がるなら、借り換えを検討するのは有益です。

※参考例
(借り換えの条件)
現行ローン
平成23年2月借り入れ、平成23年3月返済開始
当初借入額3,000万円、年利2.6%、元利均等毎月払い、返済期間30年

借り換えローン
72回返済後、約2,571万円に借換え費用約33万円を加え
2,604万円年利1.2%のローンに借換えたものとする。

(借り換え後の負担状況)

項  目 現   行 借 換 え 後 差   額
年間返済額 144.1万円 124.9万円 ▲19.2万円
既払い利息の額 435.9万円 435.9万円
今後の支払利息 887.8万円 394.2万円 ▲493.6万円
支払利息合計 1,323.7万円 830.1万円

生命保険の見直し

ⅰ 解約
生命保険を解約すると、保険料を支払う必要がなくなります。負担は軽減されますが、解約すると保障もなくなります。生命保険の解約は、契約者の意思でいつでも解約できます。生命保険は加入時の年齢で保険料が決定するので、解約後、年齢経過後に新たに加入すると、再加入時の年齢の保険料となり、保障内容は全く同じであっても、保険料が高くなるので注意が必要です。

また、再加入時には、改めてその時点の健康状態を告知しなければなりません。もし、健康状態に問題があれば、生命保険に加入できなくなることもあるので、安易な生命保険解約は控えたほうが無難です。

生命保険を大きく分けると、終身保険と定期保険がありますが、一般的に終身保険には「解約返戻金」があり、定期保険にはそれがないので「掛け捨て型」とも呼ばれます。解約返戻金とは、保険を解約した後に契約者に支払われる金額です。解約返戻金がある生命保険であっても、早期解約だと、返戻金は無いか、あってもごくわずかということもあるので、解約は慎重に検討されるべきです。

ⅱ 解約しないで、生命保険料の負担軽減を図る方法
ア 保険金額の減額
保険金額を減らすことにより、毎月の保険料負担額を減らすことができます。減額は、元の保険の一部を解約したものとして取り扱われるので、解約返戻金がある場合は支払われます。減額には、保険料の負担を軽くするというメリットがありますが、保障額が減ってしまうというデメリットもあります。いったん減額を行うと、元の契約に戻すことができません。

イ 契約者貸し付けを利用する
保険会社の「契約者貸付金」制度を利用するもので、生命保険の解約返戻金の一部を前借りし、保険料支払いに当てます。数カ月程度の間、保険料が支払えないという場合にあった方法です。通常約4~5%の利息がつきますが、新型コロナに見舞われている現状から、多くの保険会社が無利息になっているようです。解約返戻金のあるタイプの保険は、終身保険や養老保険、学資保険、個人年金などです。

ウ 払い済み保険に変更する
払い済み保険とは、保険料の支払いを中止して、その時点での解約返戻金を一時払いの保険料として、保険金額の小さな保険に切り替えたものです。保険期間は変わりません。払い済み保険に変更できる最低保険金額が決まっているため、解約返戻金が最低保険金額に満たない場合は変更ができません。また、元の保険についていた特約は消滅します。払い済み保険に変更後、一定期間内であれば元の契約に戻すことができます。

エ 延長保険に変更する
現時点での解約返戻金を一時払い保険料に充当し、保険金額を変えずに、保障期間を変更するという方法です。終身保険の場合は定期保険に変更されます。毎月の保険料支払いはなくなりますが、特約部分も消滅します。延長保険も、一定期間内であれば、元の契約に戻すことができます。

その他の見直し

その他、光熱費や通信費なども見直し余地がないかどうか。電気代は、電力自由化によって契約する会社によっては、安くできる可能性があります。ケータイ代も格安SIMなどに変えることで安くできる場合があります。

格安SIMとは、携帯電話会社のスマートフォンと比べて、非常に安い料金で使えるスマートフォンのことです。また、使っていないオプションの解約や、料金プランの見直し、家族で契約会社をまとめるといった方法でも節約につながることがあります。

収入が大幅に減った家庭は、支出を抑えるだけでは乗り切れないこともあります。その場合は、支払いを先延ばしすることで当面を乗り切ることも検討すべきです。税金や水道光熱費、保険料、奨学金、住宅ローンなど新型コロナに対応して支援の手が差し伸べられているので、関係機関に相談されることをお勧めします。

コロナ詐欺に注意

新型コロナの感染拡大に伴う給付金との関連を装い、公的機関などになりすまして個人情報を聞き出そうとする不審なメールや電話の相談が、全国の消費生活センターに寄せられていると言われています

市の職員の名をかたり、「市から給付金が支給されるが、手続きにキャッシュカードの暗証番号が必要。カードを封筒に入れて渡してほしい」と電話があり、自宅に現れた男がカードを詐取したとの例。また息子の名前をかたって、「自分が保証人になった友人がコロナに係りお金が必要になった」と電話があり、現金を1,000万円詐取されたなど、事例が後を絶たないので、給付金や助成金などを名目とした電話やメールなどは、だまされないよう注意が必要です

 

  • この記事でのポイント
    ・家計スリム化効果が大きいものとして、住宅ローンの見直しと生命保険の見直しが挙げられる。
    ・住宅ローンを年利1.5%以上の金利で返済しているなら、借り換えを検討することをお勧め。
    ・生命保険は加入時の年齢で保険料が決定するので、解約後、新たに加入すると、保障内容は全く同じであっても、保険料が高くなるので注意が必要。
    ・解約返戻金がある生命保険であっても、早期解約だと、返戻金は無いか、あってもごくわずかということもあるので、解約は慎重に検討されるべき。
    ・上述の解約しないで、生命保険料の負担軽減を図る方法を検討してみる
    ・ケータイ代も格安SIMなどに変えることで安くできる場合があり。
    ・コロナ詐欺には注意する。