以下、目次となります。
保険の考え方
一般に、日本人はたくさんの保険料を支払っています。1世帯当たりが支払う年間保険料は平均382,000円(※)で、月平均32,000円となります。仮にこの金額を20年間払い続けると760万円、30年では1,146万円となり、将来満期金として戻ってくるものもありますが、相当な保険料負担となります。その分貯蓄や投資に回せる金が少なくなるということになります
しかしながら、保険が全く必要ないかといえば、そうではなく、例えば、結婚して子供が生まれてくるようなケースでは、働き手の夫や妻に万一のことが起こった時に、子どもの生活費や教育費をまかないきれなくなるなどの、生活の支障をきたすことが考えられるからです。こうした場合に備えて、死亡時に保険金が受け取れる保険(生命保険)に加入することは大事なことです。
※平成30年度生命保険文化センター調査
生命保険加入に当たっての留意点
ⅰ 公的保障
国の年金制度に「遺族年金」があります。国の年金制度には、老後の生活を支えるという以外に、加入者が亡くなった時に遺族の生活を支えるという保障も入っています。。
亡くなった人が国民年金に加入していた自営業であれば「遺族基礎年金」が、厚生年金に加入していた会社員や公務員であれば、「遺族基礎年金」に加えて、「遺族厚生年金」が受け取れます。
遺族基礎年金は、18歳までの子どもがいる場合等の要件で、基本年金779,300円(平成30年度)に子どもの加算額等が支給され、遺族厚生年金は、亡くなった配偶者が老齢厚生年金として受け取るはずだった老齢厚生年金の4分の3相当額が受け取れます。
ⅱ 企業内保障
会社によっては、死亡退職金や死亡弔慰金、遺児・育英年金といった制度が充実していて、保障が手厚いこともあり、これによって保険料負担を軽くすることができます。
ⅲ その他の有利な制度等
自分で保険に加入するに当たっては、民間の保険を検討する前に、まずは勤務先や労働組合にグループ保険(団体定期保険)があるかどうかを調べてみることも大事です。
一般の保険よりも、団体割引で保険料が安く設定されていることが多く、また労働組合の組合員などが団体加入できる「共済」も団体割引で保険料が安く設定されています。途中で離転職した場合、団体割引はなくなるものの、一般の共済に継続加入できることもあります。
勤務先にこうした団体割引の保険がない場合には、一般の人が入れる「共済」という保険があります。共済は、非営利をモットーとしているので、民間の保険に比べて支払額は安くなります。全労済の「国民共済」や県民共済などがあります。ただし、一般的な県民共済だと、病気による死亡保障は最高で800万円程度と少なめになっています。
自前で生命保険に加入する場合
これらは、年を経るごとに徐々に保険金受取額が減っていくタイプの保険で、子どもの成長とともに教育費の必要性が下がってくるので、受取額が減ってもいいという考え方です。逓減定期保険は期間の経過に応じて保険金額が減っていき、一時金として受け取るもので、収入保障保険は、期間の経過に応じて保険金額は減っていくが、一時金ではなく年金形式で受け取るものです。年を経るごとに減っていく分、定期死亡保険に比べて、毎月支払う保険料が安くなります。
一般的な保険で保険料を比較すると、一生涯保障が継続する終身保険と保険期間が一定で保険料が掛け捨てになる定期保険では、定期保険の保険料が終身保険の1/4程度、定期保険と収入保障保険では、収入保障保険の保険料が定期保険の1/2程度といわれています。
- この記事でのポイント
・保険は、万一のときのリスクをヘッジ(回避)するのが本来の目的。
・死亡時に保険金が受け取れる保険(生命保険)に加入することは大事なこと!
・自分で保険に加入する場合は、まずは勤務先や労働組合にグループ保険(団体定期保険)があるかどうかを調べてみることも大事。
・それ程収入がない場合の生命保険としてお勧めなのが、「逓減(ていげん)定期保険」や「収入保障保険」。